🌐 ネットワーク構築・運用 第1章-2節

サブネットとCIDR

サブネットマスクの役割

サブネットマスクは、IPアドレスのネットワーク部ホスト部の境界を定義するための値です。IPアドレスだけでは、どこまでがネットワーク部でどこからがホスト部なのかを判別できないため、必ずサブネットマスクとセットで使用します。

サブネットマスクの基本

サブネットマスクはIPアドレスと同じ32ビットの値で、ネットワーク部に対応するビットを「1」、ホスト部に対応するビットを「0」で表現します。

📋 具体例

IPアドレス:192.168.1.100
サブネットマスク:255.255.255.0

ビット表記:
IP: 11000000.10101000.00000001.01100100
Mask: 11111111.11111111.11111111.00000000

ネットワーク部:192.168.1(先頭24ビット)
ホスト部:100(末尾8ビット)
ネットワークアドレス:192.168.1.0
ブロードキャストアドレス:192.168.1.255
使用可能ホスト数:254台(.1 ~ .254)

CIDR(Classless Inter-Domain Routing)表記

CIDRは、クラスに縛られずにネットワークを柔軟に分割するための方式です。サブネットマスクの「1」のビット数を「/」に続けて表記します。

CIDR表記サブネットマスクホスト数用途例
/8255.0.0.016,777,214大規模ネットワーク
/16255.255.0.065,534中規模ネットワーク
/24255.255.255.0254小規模LAN(最も一般的)
/25255.255.255.128126中小オフィス
/26255.255.255.19262小オフィス・VLAN
/27255.255.255.22430サーバーセグメント
/28255.255.255.24014DMZ・管理用セグメント
/29255.255.255.2486WAN接続ポイント
/30255.255.255.2522ポイントツーポイント接続
/32255.255.255.2551ホストルート(単一ホスト指定)

ポイント:使用可能なホスト数は「2のn乗 - 2」で計算します(nはホスト部のビット数)。「-2」はネットワークアドレス(ホスト部が全て0)とブロードキャストアドレス(ホスト部が全て1)を除くためです。

サブネット分割の計算

192.168.1.0/24のネットワークを4つのサブネットに分割する例を見てみましょう。

📋 具体例

元のネットワーク:192.168.1.0/24(254ホスト)
4分割 → 2ビット追加 → /26(各62ホスト)

サブネット1:192.168.1.0/26(.1 ~ .62、BC: .63)
サブネット2:192.168.1.64/26(.65 ~ .126、BC: .127)
サブネット3:192.168.1.128/26(.129 ~ .190、BC: .191)
サブネット4:192.168.1.192/26(.193 ~ .254、BC: .255)

※ BC = ブロードキャストアドレス

ひとり情シスの視点:中小企業でサブネット分割が必要になる典型的なケースは、VLANによるセグメント分離です。たとえば社員用、来客用Wi-Fi、サーバー用、VoIP用でネットワークを分けたい場合、/24を/26に分割して4セグメントにするのが実用的です。

VLSM(Variable Length Subnet Masking)

VLSMは、サブネットごとに異なるサブネットマスク長を使う手法です。均等分割では無駄が生じる場合に、必要なホスト数に応じて効率よくアドレスを配分できます。

📋 具体例

10.0.0.0/24を以下の要件で分割:
・営業部:100台 → /25(126ホスト)→ 10.0.0.0/25
・開発部:50台 → /26(62ホスト)→ 10.0.0.128/26
・サーバー:10台 → /28(14ホスト)→ 10.0.0.192/28
・管理用:2台 → /30(2ホスト)→ 10.0.0.208/30

大きいサブネットから順に割り当てていくのがポイントです。

サブネット計算の早見表

サブネット計算で頻出する「2のべき乗」を覚えておきましょう。

2のべき乗対応するサブネット
212/31 → 2ホスト(P2P)
224/30 → 2ホスト
238/29 → 6ホスト
2416/28 → 14ホスト
2532/27 → 30ホスト
2664/26 → 62ホスト
27128/25 → 126ホスト
28256/24 → 254ホスト

⚠️ 注意

サブネット設計で最も多いミスは「将来の拡張を考慮しないこと」です。現在の端末数ギリギリのサブネットを設計すると、機器追加のたびにネットワーク再設計が必要になります。現在の1.5~2倍程度の余裕を持たせた設計を心がけましょう。

ネットワークアドレスの求め方

IPアドレスとサブネットマスクのAND演算(論理積)でネットワークアドレスを求められます。

📋 具体例

IP: 172.16.50.200 / サブネットマスク: 255.255.240.0(/20)

3オクテット目の計算:
50 = 00110010
240 = 11110000
AND = 00110000 = 48

ネットワークアドレス:172.16.48.0/20
ホスト範囲:172.16.48.1 ~ 172.16.63.254
ブロードキャスト:172.16.63.255