☁️ クラウドサービス管理 第3章-1節

Google Workspaceの管理

Google Workspaceとは

Google Workspace(旧G Suite)は、Googleが提供するクラウドベースの統合生産性プラットフォームです。Gmail、Google Drive、Google Docs、Google Sheets、Google Slides、Google Meet、Google Calendar、Google Chatなどのサービスで構成されています。

Microsoft 365と並ぶ主要なクラウドグループウェアとして、特にスタートアップやIT企業での採用が多く見られます。ひとり情シスとしては、自社がどちらを採用しているか(あるいは両方を使っているか)に関わらず、両方の基本的な管理知識を持っておくことが重要です。

エディション比較

エディション主な特徴ストレージ月額目安(税抜/ユーザー)
Business Starter基本機能、カスタムメール、セキュリティ30GB/ユーザー約680円
Business StandardStarter+録画付きMeet(150人)、共有ドライブ2TB/ユーザー約1,360円
Business PlusStandard+Vault、高度なエンドポイント管理5TB/ユーザー約2,040円
EnterprisePlus+DLP、S/MIME、高度なコンプライアンス無制限(5TB/ユーザー〜)要問合せ

ポイント:中小企業にはBusiness Standardが最もバランスが良いエディションです。2TBのストレージと共有ドライブが使えるため、ほとんどの業務をカバーできます。Vaultによるデータ保持が必要な場合はBusiness Plusを検討しましょう。Business系エディションは300ユーザーまでの制限があり、それ以上はEnterprise系が必要です。

管理コンソール

Google Workspaceの管理は管理コンソール(https://admin.google.com)で行います。

管理コンソールの主な機能:

カテゴリ機能
ユーザー管理ユーザーの追加・削除、パスワードリセット、ライセンス割り当て
デバイス管理モバイルデバイス管理、Chrome OS管理、エンドポイント検証
アプリ設定各Googleサービスの有効化/無効化、設定変更
セキュリティ2段階認証、SSO設定、パスワードポリシー、セキュリティセンター
ルールと監査アラートセンター、監査ログ、レポート
ドメイン管理ドメインの追加、DNS設定確認

組織部門(OU)構造

Google Workspaceの組織部門(OU:Organizational Unit)は、ユーザーとデバイスをグループ化して異なるポリシーを適用するための階層構造です。Active DirectoryのOUに似た概念です。

OU設計のポイント:

  • 組織の部門構造に合わせたOU階層を作成(例:本社 → 営業部、管理部、開発部)
  • 子OUは親OUの設定を継承(個別にオーバーライド可能)
  • サービスの有効化/無効化をOUレベルで制御(例:開発部のみGoogle Cloud Platformを有効化)
  • OU間のユーザー移動は管理コンソールから簡単に実行可能

📋 具体例

OU設計の実例:

会社名(ルート)
├── 経営層    → 全サービス有効、2段階認証必須
├── 営業部    → Gmail、Drive、Calendar、Meet有効
├── 管理部
│   ├── 経理課  → Sheets重視、外部共有制限
│   └── 総務課  → 標準設定
├── 開発部    → 全サービス+GCP有効
└── アルバイト  → Gmail、Calendarのみ、Drive制限

このように部門や雇用形態ごとにOUを作成し、利用可能なサービスや共有範囲を細かく制御できます。

Gmail管理設定

Gmailの管理設定は、組織のメールコミュニケーションのセキュリティと効率性に直結します。

主なGmail管理設定項目

  • メールルーティング:受信メールの転送先、デュアルデリバリーの設定
  • コンプライアンス:添付ファイルのコンプライアンス、コンテンツコンプライアンス
  • スパムフィルター:許可リスト/ブロックリスト、内部送信者のスパムフィルターバイパス
  • SPF/DKIM/DMARC設定:メール認証の設定(管理コンソール+DNSレコード)
  • メール保持期間:Vault(Business Plus以上)でのメール保持設定
  • メール委任:他のユーザーのメールを代理で送受信する設定

⚠️ 注意

Google WorkspaceでもSPF、DKIM、DMARCの設定は必須です。SPFはDNSレコードにv=spf1 include:_spf.google.com ~allを設定し、DKIMは管理コンソール(アプリ → Google Workspace → Gmail → メールの認証)から生成した公開鍵をDNSに登録します。DMARCも設定して、なりすましメールの送信を防止しましょう。

Google Drive共有設定

Google Driveの共有設定は、データのセキュリティに直結する重要な管理項目です。

共有設定レベル説明
組織内の全員リンクを知っている組織内のユーザーがアクセス可能
特定のユーザー指定したユーザーのみアクセス可能
組織外のユーザー外部ユーザーにも共有可能(管理者設定で制御)

管理コンソールでの共有制御(アプリ → Google Workspace → ドライブとドキュメント → 共有設定):

  • 外部共有のオン/オフ:組織外のユーザーとの共有を許可/禁止
  • 共有の許可リスト:特定のドメインとのみ外部共有を許可
  • 共有ドライブの作成権限:共有ドライブを作成できるユーザーを制限
  • ファイルのダウンロード・印刷・コピーの制限:閲覧者のダウンロードを禁止可能

ひとり情シスの視点:外部共有は業務上必要な場面が多いですが、野放しにするとデータ漏洩リスクが高まります。推奨は「許可リストに登録したドメインへの外部共有のみ許可」とし、主要取引先のドメインを登録する運用です。共有ドライブの作成は管理者またはマネージャーに限定し、乱立を防ぎましょう。

セキュリティ設定

Google Workspaceのセキュリティ設定は、管理コンソールのセキュリティセクションで一元管理します。

主要なセキュリティ設定

  • パスワードポリシー:最小文字数(8文字以上推奨)、パスワード強度の設定
  • ログインチャレンジ:不審なログインに対する追加認証
  • セッション管理:Webセッションの有効期間設定
  • アプリのアクセス制御:サードパーティアプリのOAuth認可を制御
  • APIアクセス制御:API経由のデータアクセスを管理

2段階認証の強制

Google Workspaceでは、管理コンソールから組織全体またはOU単位で2段階認証(2SV: 2-Step Verification)を強制できます。

2段階認証の展開ステップ:

  1. 準備期間:2段階認証の「許可」を有効にし、ユーザーに自主的な登録を案内
  2. 新規ユーザー登録猶予期間の設定:新規ユーザーに1週間の設定猶予を付与
  3. 強制適用:指定日以降、2段階認証未設定のユーザーはログイン不可に
  4. 許可する方法の制限:セキュリティキーのみ許可、SMS認証を禁止等

ポイント:Google Workspaceの2段階認証では、高度な保護機能プログラムを管理者やセキュリティキーを必要とするユーザーに適用できます。これにより、フィッシング耐性のあるセキュリティキーのみが認証方法として許可され、最高レベルのアカウント保護が実現します。少なくとも管理者アカウントにはセキュリティキーを必須にしましょう。

セキュリティセンターとアラート

Enterprise版ではセキュリティセンターが利用可能で、組織のセキュリティ状態のダッシュボード表示、脅威の分析、推奨アクションの提示が行われます。Business Plus以上ではアラートセンターが利用可能で、以下のようなセキュリティイベントの通知を受け取れます。

  • 不審なログインアクティビティ
  • マルウェアが検出されたメール
  • ユーザーによる大量データのダウンロード
  • DLPルール違反
  • モバイルデバイスの不正な操作