🛠️ 情シス実務 第5章-3節

ドキュメント管理

ドキュメント管理 ― IT環境を「見える化」する

「ネットワーク構成図はありますか?」と聞かれて即座に出せますか? 「このサーバーの管理者パスワードは?」と問われてすぐ答えられますか? ドキュメント管理は地味ですが、ひとり情シスにとって命綱とも言える業務です。あなたが不在のとき、ドキュメントだけが会社を守ります。

最低限整備すべきドキュメント

まずは以下の5つを整備しましょう。完璧でなくても「存在する」ことが重要です。

  1. ネットワーク構成図
  2. IPアドレス管理表
  3. パスワード管理台帳
  4. IT資産台帳
  5. 運用手順書

ネットワーク構成図の作り方

ネットワーク構成図は、IT環境の「地図」です。障害対応時、ベンダーへの説明時、新規導入の設計時など、あらゆる場面で使います。

  • 物理構成図 ― 機器の接続関係を示す。どのスイッチのどのポートに何が接続されているか
  • 論理構成図 ― VLAN、サブネット、ルーティングなど論理的なネットワーク構成

ツールは無料のdraw.io(diagrams.net)で十分です。Visioを持っていなくても、ブラウザ上で本格的な構成図が作れます。

IPアドレス管理表

固定IPアドレスを使用している機器の一覧です。Excelで管理するのが最もシンプルです。

IPアドレス機器名用途設置場所備考
192.168.1.1RTX1220ルーターサーバールームデフォルトゲートウェイ
192.168.1.10SV-AD01Active DirectoryサーバールームDNS/DHCP兼用
192.168.1.11SV-FILE01ファイルサーバーサーバールームRAID5
192.168.1.20MFP-1F複合機(1階)1階事務所リコー MPC3504
192.168.1.100〜200DHCP範囲社員PC用

パスワード管理

管理者パスワードの管理は最も注意が必要です。以下のルールを守りましょう。

  • Excelファイルにパスワードを書かない ― 誰でもアクセスできるファイルにパスワードを平文で保存するのは危険
  • パスワードマネージャーを使う ― KeePass(無料)やBitwarden(無料プランあり)がおすすめ
  • 緊急時用の封緘書類 ― 重要パスワードは紙に記載し、封をした状態で金庫に保管。自分が不在時の最終手段
  • 共有パスワードは最小限に ― 個人アカウントを原則とし、共有アカウントは極力減らす

手順書の書き方

運用手順書は、あなたの代わりに作業を行う人のために書きます。以下の点を意識しましょう。

  • ITに詳しくない人でも実行できるレベルで書く ― 「サービスを再起動する」ではなく、「スタートメニュー → services.msc と入力 → Print Spoolerを右クリック → 再起動をクリック」のように具体的に
  • スクリーンショットを多用する ― 文字だけの手順書は読まれない
  • 判断基準を明記する ― 「問題がある場合は対応する」ではなく、「○○が表示された場合は、△△を実行する」

引き継ぎ資料の準備

「自分がいなくなったらどうなるか」を常に意識してドキュメントを整備することが、結果的に日々の業務を楽にします。引き継ぎ資料として以下を整備しておきましょう。

  • IT環境全体の概要(サーバー構成、ネットワーク構成、利用サービス一覧)
  • 定期作業の一覧と手順
  • ベンダー連絡先一覧
  • 過去の主要な障害とその対応記録
  • パスワード管理台帳へのアクセス方法

ドキュメント整備は「時間があるときにやろう」と後回しにしがちですが、業務時間の一部として定期的に取り組む習慣をつけましょう。