🔒 セキュリティ 第3章-3節

ゼロトラストセキュリティ

ゼロトラストとは何か

ゼロトラスト(Zero Trust)とは、「何も信頼せず、常に検証する」というセキュリティの考え方です。従来の境界型防御(社内ネットワークは安全、社外は危険)に代わる新しいアプローチとして、近年急速に普及しています。

境界型防御の限界

従来の境界型防御モデルでは、ファイアウォールの内側(社内ネットワーク)を安全なゾーンとして扱っていました。しかし、以下の変化によりこのモデルは通用しなくなっています。

  • リモートワークの普及:従業員が社外から業務システムにアクセスする機会が増加
  • クラウドサービスの利用拡大:データやアプリケーションが社内ネットワーク外に存在
  • 内部脅威の増加:一度侵入されると社内を自由に動き回れてしまう(ラテラルムーブメント)
  • BYOD:個人デバイスの業務利用により、管理外の端末が社内接続

ゼロトラストの基本原則

NISTのSP 800-207で定義されたゼロトラストの主な原則は以下の通りです。

  1. すべてのリソースへのアクセスは、場所に関係なく認証・認可する
  2. アクセスは最小権限の原則に基づき許可する
  3. すべてのトラフィックを検査・記録する
  4. ポリシーは動的に評価する(デバイスの状態、時刻、場所等を考慮)
  5. すべての資産の状態を継続的に監視する
  6. 認証・認可は厳格に実施する

SASEとの関係

SASE(Secure Access Service Edge)は、ゼロトラストをネットワークレベルで実現するクラウドベースのアーキテクチャです。

  • SD-WAN:ネットワーク接続の最適化
  • ZTNA(Zero Trust Network Access):VPNに代わるゼロトラスト型のリモートアクセス
  • CASB:クラウドサービスの利用状況の可視化と制御
  • SWG:Webアクセスのセキュリティゲートウェイ

中小企業での段階的導入

ゼロトラストは大規模な投資が必要だと思われがちですが、中小企業でも段階的に導入できます。

段階施策コスト目安
Step 1全アカウントにMFAを導入低(Microsoft 365の標準機能)
Step 2条件付きアクセスで端末状態を検証低〜中(Intune/Entra ID P1)
Step 3デバイス管理(MDM)の導入中(Intuneライセンス)
Step 4VPNからZTNAへの移行中〜高
Step 5全リソースの継続的監視・ログ分析中〜高

まずはStep 1のMFA導入から始め、Microsoft 365のセキュリティ機能を最大限活用することが、ひとり情シスにとって最も現実的なゼロトラストへの第一歩です。