🔒 セキュリティ 第5章-3節

BCP/DR

事業継続計画(BCP)とは

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、災害やサイバー攻撃などの緊急事態が発生した際に、事業の中断を最小限に抑え、重要な業務を継続または早期復旧するための計画です。ひとり情シスはIT-BCPの策定と維持に中心的な役割を担います。

BCP策定のステップ

  1. ビジネスインパクト分析(BIA):業務の停止がどの程度の影響を及ぼすかを分析
    • 各業務システムの重要度をランク付け
    • 許容停止時間を部門ごとに確認
  2. リスク評価:どのような脅威が事業を中断させうるかを洗い出す
    • 自然災害(地震、台風、洪水)
    • サイバー攻撃(ランサムウェア、DDoS)
    • 設備故障(サーバー障害、回線断)
    • パンデミック(感染症の流行)
  3. 対策の策定:リスクごとの対応策と代替手段を計画
  4. 訓練の実施:年1回以上のBCP訓練(机上訓練・実動訓練)
  5. 見直し:環境変化に合わせて計画を定期的に更新

RPOとRTO

BCPにおける2つの重要指標を理解しましょう。

指標意味
RPO(Recovery Point Objective)どの時点までのデータを復旧するかRPO=1時間 → 障害発生1時間前までのデータを復旧
RTO(Recovery Time Objective)復旧までにかかる目標時間RTO=4時間 → 4時間以内にシステムを復旧

RPOが短いほどデータ損失は少なくなりますが、より頻繁なバックアップが必要になりコストが増加します。業務の重要度に応じてRPO/RTOを設定しましょう。

バックアップの3-2-1ルール

データバックアップの業界標準ルールです。

  • 3:データのコピーを最低3つ持つ(原本 + バックアップ2つ)
  • 22種類の異なるメディアに保存(例:NAS + 外付けHDD)
  • 11つはオフサイト(遠隔地)に保管(例:クラウドストレージ)

さらに近年は「3-2-1-1-0ルール」も提唱されています。

  • 1:1つはオフライン(ネットワークから隔離された状態)で保管
  • 0:バックアップの検証を行い、リストアエラーが0であることを確認

ランサムウェアはバックアップサーバーも暗号化することがあるため、オフラインバックアップは特に重要です。

DR(Disaster Recovery)環境の構築

DR(災害復旧)は、BCPの中でもITシステムの復旧に焦点を当てた部分です。

  • コールドスタンバイ:予備機を用意しておき、障害時に手動で切り替え。コスト低だが復旧に時間がかかる
  • ウォームスタンバイ:予備機にデータを定期同期。数時間で復旧可能
  • ホットスタンバイ:リアルタイムで同期。即座に切り替え可能だがコスト高
  • クラウドDR:AzureやAWSのDRサービスを利用。従量課金で初期コストを抑えられる

中小企業では、まずクラウドバックアップ(Microsoft 365のデータ、ファイルサーバーのデータ)を確実に実施し、復旧手順を文書化してテストすることから始めましょう。計画は作っただけでは意味がありません。定期的な復旧テストが最も重要です。