🖥️ HW・SW 第6章-3節

廃棄とデータ消去

廃棄とデータ消去

IT機器の廃棄は「ゴミに出す」だけでは済みません。データ漏洩のリスクがあるため、適切なデータ消去と廃棄手続きが必要です。情シスとして、確実な廃棄プロセスを構築しましょう。

データ消去の3つの方法

方法説明メリット・デメリット
ソフトウェア消去専用ツールでディスク全体をランダムデータで上書き機器を再利用可能。時間がかかる(数時間〜)。SSD対応ツールが必要
磁気消去(デガウス)強力な磁場でディスクのデータを破壊高速。ただしHDD専用でSSDには無効。機器は再利用不可
物理破壊ディスクを物理的に破壊(穿孔、破砕)最も確実。専門業者に依頼するのが一般的

NIST SP 800-88ガイドライン

米国国立標準技術研究所(NIST)が定めたデータ消去の国際的なガイドラインです。3つの消去レベルが定義されています。

  • Clear(クリア): 標準的なソフトウェア消去。一般的な復元ツールでは復旧不可。社内再利用向け
  • Purge(パージ): 高度な消去。専門的なラボでも復旧が困難。外部への譲渡・リース返却向け
  • Destroy(デストロイ): 物理破壊。復旧は不可能。機密データの最終処分向け

一般的な企業データであればClearレベルで十分ですが、個人情報や機密情報を扱っていた機器はPurge以上を推奨します。

SSD特有の注意点

SSDはHDDとは異なる消去方法が必要です。

  • SSDのウェアレベリングにより、通常の上書き消去では全領域をカバーできない可能性
  • Secure EraseまたはCryptographic Eraseコマンドを使用(メーカー提供ツールを利用)
  • 暗号化SSDの場合、暗号鍵を破棄するInstant Secure Erase(ISE)が最速かつ確実

廃棄証明書

データ消去・廃棄を業者に委託した場合は、廃棄証明書(データ消去証明書)を必ず受領しましょう。

  • 証明書に含めるべき情報: シリアル番号、消去方法、消去日時、担当者名
  • 写真付きの証明書があるとなお良い(物理破壊の場合)
  • 証明書は資産管理台帳と紐づけて保管。監査時に提出を求められることがある

廃棄業者の選び方

  1. ISMS認証(ISO 27001)を取得している業者を選定
  2. データ消去作業の立会いが可能か確認
  3. 搬送時のセキュリティ対策(施錠可能な搬送ボックス、GPS追跡等)
  4. 適切な廃棄許可証(産業廃棄物処理業の許可)を保有しているか

環境配慮(リサイクル)

IT機器は「小型家電リサイクル法」の対象です。適正なリサイクルルートで処理しましょう。

  • メーカーの回収サービスを利用(多くのPCメーカーが法人向け回収を提供)
  • リユース可能な機器は中古買取業者に売却(データ消去は自社で実施してから)
  • 産業廃棄物管理票(マニフェスト)で廃棄の追跡管理を行う

機器の廃棄は情シスの最後の仕事ですが、データ漏洩事故は廃棄段階で最も発生しやすい場面の一つです。「どうせ壊すから」と雑に扱わず、導入時と同じレベルの注意を払いましょう。