IT予算の策定
IT予算の策定 ― 経営層に「IT投資」を理解してもらう
「情シスって何にそんなお金がかかるの?」――ひとり情シスなら一度は言われたことがあるのではないでしょうか。IT予算の策定は、技術力だけでは乗り越えられない「ビジネススキル」が問われる場面です。適切な予算を確保するために必要な知識を身につけましょう。
予算項目の洗い出し
まずは、IT関連でどんな費用が発生しているかをすべて洗い出します。意外と「ITの予算」として認識されていない費用が他部署の予算に紛れていることがあります。
| カテゴリ | 具体例 |
|---|---|
| ハードウェア | PC購入・リース、サーバー、ネットワーク機器、プリンター、UPS |
| ソフトウェア | Microsoft 365、ウイルス対策ソフト、業務ソフト(会計・勤怠等) |
| 通信費 | インターネット回線、電話回線、携帯電話、VPN |
| 保守・サポート | ハードウェア保守契約、ソフトウェアサポート契約 |
| クラウドサービス | AWS/Azure利用料、SaaS月額費用 |
| 外部委託 | SI会社への開発・運用委託費、セキュリティ診断 |
| 消耗品 | トナー、LANケーブル、USBメモリ、マウス・キーボード |
| 教育・資格 | 研修費、資格受験料、書籍 |
CAPEX(資本的支出)とOPEX(運用支出)
IT予算は会計上、大きく2つに分類されます。経営層や経理部門との会話でよく出てくる用語なので理解しておきましょう。
- CAPEX(Capital Expenditure) ― サーバー購入、ネットワーク構築など、資産として計上する費用。減価償却の対象になる
- OPEX(Operational Expenditure) ― クラウド利用料、ライセンス月額費用など、毎月発生する運用費。経費として処理される
最近はクラウド化によりCAPEXからOPEXへの移行が進んでいます。「大きな初期投資は不要だが月額費用が継続的に発生する」という形です。経営層には「初年度のコスト」だけでなく「5年間の総コスト」で比較して説明すると理解を得やすくなります。
年間予算テンプレート
予算書のフォーマットは会社によって異なりますが、最低限以下の構成にしましょう。
- 前年度実績 ― 昨年いくら使ったか(実績ベース)
- 今年度予算 ― 今年いくら必要か(見積もりベース)
- 増減理由 ― 前年から増えた理由、減った理由を明記
- 投資案件 ― 新規導入や大規模更新の計画と費用
- リスク費用 ― 障害対応や緊急購入に備えた予備費(総額の10〜15%)
経営層への説明のコツ
技術用語を並べても経営層には響きません。以下の観点で説明しましょう。
- ビジネスへの影響 ― 「このサーバーが壊れたら全社の業務が止まります。1日の損失額は○○万円です」
- 比較で示す ― 「社員一人あたり月○○円のIT投資です。業界平均は○○円です」
- 投資対効果 ― 「このツール導入で月○時間の作業が削減でき、年間○○万円の人件費削減になります」
- リスクで語る ― 「セキュリティ対策をしなかった場合、情報漏洩の賠償金は平均○億円です」
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