🌳 実践編 | 📖 7分

自分のリーダーシップスタイルを見つける

自分のリーダーシップスタイルを見つける

ダニエル・ゴールマンは、ハーバード・ビジネス・レビューの論文で「リーダーシップには6つのスタイルがあり、状況に応じて使い分けることが最も効果的だ」と述べました。しかし、すべてのスタイルを等しく使いこなせる人はほとんどいません。まず自分の「ホームベース」となるスタイルを知り、そこから幅を広げていくことが現実的な成長戦略です。

ゴールマンの6つのリーダーシップスタイル

スタイル特徴効果的な場面注意点
ビジョン型明確な方向性を示し、人を動かす変革期、新しい方向性が必要な時メンバーが経験豊富な場合、押しつけに感じられる
コーチ型個人の成長を支援し、長期的な能力開発に注力メンバーの育成が重要な時緊急の課題には対応が遅れがち
関係重視型人間関係の調和を重視し、感情的な絆を築くチームの士気が低い時、対立の修復時パフォーマンスの問題を見過ごしやすい
民主型合意形成を重視し、メンバーの意見を幅広く求めるチームの知恵を集めたい時、当事者意識を高めたい時意思決定に時間がかかる
ペースセッター型高い基準を設定し、自ら模範を示すメンバーが有能で自律的な場合メンバーが疲弊しやすい、依存を生みやすい
強制型即座の服従を求め、明確な指示を出す危機的状況、緊急時長期使用はモチベーションを破壊する

あなたのスタイルを診断する

以下の質問に直感的に答えてみてください。最も自然に感じる選択肢があなたのメインスタイルのヒントになります。

  1. チームが新プロジェクトに取り組む時、あなたはまず何をする?
    • A:ビジョンと方向性を語る → ビジョン型
    • B:メンバーの強みと成長目標を確認する → コーチ型
    • C:チームの雰囲気づくりから始める → 関係重視型
    • D:全員の意見を聞いて方針を決める → 民主型
    • E:自ら率先して高い成果を見せる → ペースセッター型
    • F:明確な計画と役割分担を指示する → 強制型
  2. メンバーがミスをした時、あなたの最初の反応は?
    • A:このミスを学びに変える方法を考えよう → コーチ型
    • B:メンバーの気持ちにまず寄り添う → 関係重視型
    • C:なぜそうなったかチームで話し合おう → 民主型
    • D:同じミスを自分はしない方法を実演する → ペースセッター型
    • E:再発防止策を即座に指示する → 強制型
    • F:大きな絵を描き直し、方向を再確認する → ビジョン型

ケーススタディ:スタイルの使い分け

日本のある大手メーカーの事業部長Aさんは、根っからのペースセッター型リーダーでした。自ら先頭に立ち、誰よりも働き、高い基準を示す。優秀なエンジニアが揃う開発チームでは、このスタイルは極めて効果的でした。チームは次々と革新的な製品を生み出していました。

しかし、Aさんが新規事業部門の立ち上げを任された時、状況は一変しました。経験の浅いメンバーが多く、事業の方向性も定まっていない。ペースセッター型のAさんは自分の高い基準についてこられないメンバーに苛立ち、結局自分で仕事を抱え込んでしまいました。メンバーの離職率は上昇し、チームの士気は低下の一途を辿りました。

転機となったのは、エグゼクティブコーチとの出会いでした。コーチの助言を受け、Aさんはまずビジョン型で新規事業の意義と方向性を語ることから始めました。次に、コーチ型に切り替え、メンバー一人ひとりの成長を支援する1on1を毎週実施。チームの結束が生まれてきた段階で、民主型のスタイルで戦略立案に全員を巻き込みました。

1年後、新規事業部門は当初目標を上回る成果を達成しました。Aさんは後にこう振り返っています。「自分のスタイルを変えたのではなく、状況に応じて別のスタイルを"追加"した。ペースセッターとしての自分も、必要な場面ではちゃんと活きている。」

最高のリーダーは一つのスタイルに固執しない。ゴルフで状況に応じてクラブを変えるように、リーダーシップスタイルを使い分ける。 ―― ダニエル・ゴールマン

スタイルの幅を広げるための実践法

  • 自己認識を深める:自分のデフォルトスタイルを正直に認識する。360度フィードバックが有効。
  • 弱みのスタイルを意図的に練習する:苦手なスタイルを安全な場面から少しずつ試す。完璧を目指さず、70点で十分。
  • ロールモデルを観察する:自分にない強みを持つリーダーの行動を観察し、具体的な言動をメモする。
  • 状況診断の習慣をつける:会議やプロジェクトの前に「今この場面で最も効果的なスタイルは何か?」と自問する。
  • フィードバックを求める:信頼できるメンバーに「今日の自分のリーダーシップはどうだった?」と定期的に聞く。

リーダーシップスタイルは固定されたものではありません。自分のホームベースを持ちながらも、状況に応じて柔軟に対応できるリーダーこそ、真に効果的なリーダーです。次の章では、こうしたリーダーシップの根幹を支える「感情知性(EQ)」について掘り下げていきます。