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キャリアの方向性に迷った時のパーパス再発見法

ポジティブ心理学の知見を活かして、自分だけの「働く目的」を見つけ直す方法を紹介します。

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キャリアの迷いは「成長のサイン」

「今の仕事を続けていていいのだろうか」「本当にやりたいことは別にあるのでは」「自分のキャリアの方向性がわからない」。こうしたキャリアの迷いは、多くの人が人生のどこかで経験するものです。

キャリアに迷うことは、決してネガティブなことではありません。ポジティブ心理学の観点では、キャリアの迷いは「今の自分が次のステージに移行する準備ができたサイン」と捉えることができます。

心理学者のハーミニア・イバーラは、キャリアの転換期を「ワーキング・アイデンティティ」の概念で説明しています。キャリアの迷いとは、古い自分と新しい自分の間で揺れている状態であり、その不安定さの中にこそ成長の種があるのです。

💡 ポイント

発達心理学者のダニエル・レビンソンは、人生には約10年ごとに「過渡期(トランジション)」が訪れると述べています。30歳前後、40歳前後、50歳前後に、多くの人がキャリアや人生の意味を問い直す時期を経験します。これは正常な発達プロセスであり、「迷い」はむしろ健全な自己発達の現れです。

ジョブ・キャリア・コーリングの3つの志向

エイミー・レズネスキーの研究によると、人が仕事に対して持つ志向には3つのタイプがあります。

ジョブ(Job)志向

仕事を「生活のための手段」と捉えます。お金を稼ぎ、生活を支えることが主な目的です。仕事自体への情熱は低く、喜びは仕事以外の活動から得ます。

キャリア(Career)志向

仕事を「昇進や成長の機会」と捉えます。ステータスや地位の向上、スキルアップに動機づけられます。達成感は成功や認知から得ます。

コーリング(Calling)志向

仕事を「使命」や「天職」と捉えます。仕事そのものが人生の重要な一部であり、社会や他者に対する貢献感が大きな動機となります。仕事を通じて生きがいを感じます。

ここで重要なのは、どの志向が「正しい」というわけではないということです。また、同じ職種でもこの3つの志向のどれも取り得ます。病院の清掃員でも、コーリング志向で「患者の回復を支えている」と感じながら働く人がいるのです。

📝 実践例

経理部で10年働いてきたKさんは、自分の仕事を完全な「ジョブ」として捉えていました。キャリアカウンセリングで強みと価値観を掘り下げたところ、「正確さ」と「信頼性」が自分のコア・バリューであることに気づきました。数字を正確に管理することで会社の意思決定を支え、社員の給与を間違いなく届けている。この「再定義」を通じて、同じ仕事がコーリング志向に変化し、日々の充実感が大きく変わりました。

強みと価値観の棚卸し

キャリアの方向性を見つけるには、まず自分の「内面的な指針」を明確にする必要があります。ポジティブ心理学では、強み価値観がその中核となります。

強みの棚卸し

VIA性格強み調査で自分の上位5つの強みを確認しましょう。さらに、以下の問いでキャリアに関連する強みを掘り下げます。

  • 仕事で最も誇りに思う成果は何か?その時、どんな強みを使っていたか?
  • 周囲から「あなたに頼みたい」と言われることは何か?
  • 努力なく自然にできてしまうことは何か?
  • やっている最中にエネルギーが湧いてくる活動は何か?

価値観の棚卸し

価値観とは「自分にとって最も大切にしたいもの」です。以下のリストから、特に重要な5つを選んでみてください。

自由、安定、挑戦、創造性、貢献、誠実、成長、家族、健康、承認、独立、チームワーク、公正、美しさ、知識、影響力、冒険、調和、伝統、ユーモア

💡 ポイント

強みと価値観が一致している時、人は最も充実感を得ます。逆に、強みを持っていても価値観に合わない方向で使っている場合、成果は出ても満足感が得られません。キャリアの方向性は、「何ができるか」だけでなく「何を大切にしたいか」から考えることが重要です。

「生きがい」フレームワークで方向性を見つける

日本語の「生きがい」は、世界中の研究者やビジネスパーソンから注目されているコンセプトです。「Ikigai」フレームワークでは、以下の4つの円の重なりにキャリアの方向性を見出します。

  1. 好きなこと(What you love):情熱を感じること、時間を忘れて没頭できること
  2. 得意なこと(What you are good at):自分の強みやスキル、他者から認められる能力
  3. 世界が必要としていること(What the world needs):社会や他者に貢献できること
  4. お金になること(What you can be paid for):経済的な対価を得られること

4つすべてが重なる領域が「生きがい」ですが、完璧な交点を一度に見つける必要はありません。まず2つの重なりから始めて、徐々に残りの要素を探っていく方が現実的です。

📝 実践例

システムエンジニアのLさんは、「生きがい」フレームワークで自分を分析しました。好きなこと:人に教えること。得意なこと:複雑な技術を平易に説明する力。世界が必要としていること:IT人材の不足を解消する教育。お金になること:企業研修やオンライン教育。4つの重なりから「IT教育」という方向性が浮かび上がりました。すぐに転職するのではなく、まず社内研修の講師を引き受けることから始め、自分のフィット感を確認しました。

スモール・エクスペリメント戦略

キャリアの方向性は、頭の中だけで考えても答えが出ないことが多いです。ハーミニア・イバーラは、「計画してから行動する」のではなく「行動しながら発見する」アプローチを推奨しています。

スモール・エクスペリメント(小さな実験)とは、今の仕事を辞めずに、関心のある分野を小さく試してみることです。

具体的な実験の例

  • 関心のある分野のセミナーや勉強会に参加する
  • その分野で活躍している人にインタビューする
  • 副業やボランティアとして小規模に体験する
  • 社内の別部署のプロジェクトに参加する
  • 関連するオンラインコースを受講する

実験の目的は「成功すること」ではなく、自分の反応を観察することです。やってみてワクワクするか、思ったほど興味が湧かないか。身体と感情の反応が、頭よりも正確にフィット感を教えてくれます。

💡 ポイント

キャリアの決断をする時、「後悔最小化フレームワーク」を試してみてください。80歳の自分を想像し、「あの時やっておけばよかった」と最も後悔しそうな選択肢はどれかを考えます。長期的な視点で判断することで、短期的な不安に振り回されにくくなります。

パーパスを軸にしたキャリアデザイン

すべてを統合して、パーパス(目的)を軸にしたキャリアデザインを行いましょう。

パーパスステートメントを作る

以下のテンプレートを使って、自分のパーパスを言語化してみてください。

「私は(強み)を活かして、(対象)に対して(価値)を提供することで、(ビジョン)に貢献する。」

例:「私は複雑なことをわかりやすく伝える力を活かして、ITに苦手意識を持つ人々に対して学ぶ喜びを提供することで、誰もがテクノロジーを活用できる社会に貢献する。」

最初から完璧なステートメントを作る必要はありません。何度も書き直しながら、しっくりくる表現を探していきましょう。

3年後の理想の1日を描く

3年後の理想的な平日を、朝から晩まで具体的に描写してみてください。どこで、誰と、どんな仕事をしているか。どんな気持ちで過ごしているか。この「理想の1日」のイメージが、キャリアの方向性を指し示す羅針盤になります。

📝 実践例

キャリアに迷っていた30代のMさんは、「理想の1日」のエクササイズで「少人数のチームで、クリエイティブなプロジェクトに取り組み、夕方には家族とゆっくり過ごしている」というビジョンが浮かびました。現状の大企業での仕事とのギャップを認識しつつ、まずは社内ベンチャー制度に応募。小規模チームでの新規事業開発に参画したことで、転職せずに理想に近い働き方を手に入れました。

キャリアの方向性は、一度決めたら終わりではなく、人生の中で何度も見直すものです。ポジティブ心理学は、その都度「自分の強み」「価値観」「人生の意味」に立ち返ることの重要性を教えてくれます。迷いの中にいる今こそ、自分と深く対話する貴重な時間です。焦らず、小さな実験を重ねながら、自分だけのパーパスを見つけていきましょう。

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