PERMAで設計する自分だけの幸福プラン
セリグマンのPERMAモデルを使い、科学的に裏付けられた自分だけの幸福計画を立てましょう。
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目次
PERMAモデルとは
マーティン・セリグマン博士が2011年に著書『Flourish(フラリッシュ)』で提唱したPERMAモデルは、ウェルビーイング(持続的な幸福)を5つの要素で捉えるフレームワークです。
PERMAモデルの画期的な点は、幸福を単なる「気分の良さ」を超えた多面的な概念として捉えたことです。一時的な快楽だけでなく、没頭、つながり、意味、達成のすべてが揃ってこそ、人は真に「栄える(flourish)」ことができるのです。
この記事では、PERMAの5要素それぞれについて具体的な強化策を立て、あなただけの「幸福プラン」を設計します。
PERMAの5要素は互いに独立しています。つまり、ある要素が低くても別の要素が高ければ、全体的なウェルビーイングはある程度維持されます。しかし、すべての要素がバランスよく高い状態が理想的です。まず自分の「弱い要素」を見つけ、そこを重点的に強化するのが効率的なアプローチです。
自分のPERMAバランスを診断する
まず、現在の自分のPERMAバランスを確認しましょう。各項目を1(とても低い)〜10(とても高い)で評価してください。
P(ポジティブ感情)の質問
- 日常的に喜び、楽しさ、感謝、安らぎなどのポジティブ感情を感じているか?
- 過去1週間で、心から笑った回数はどれくらいか?
E(没頭)の質問
- 時間を忘れて没頭できる活動が生活の中にあるか?
- 自分の強みを活かす機会が日常にあるか?
R(関係性)の質問
- 心から信頼でき、本音で話せる人がいるか?
- 愛され、サポートされていると感じているか?
M(意味)の質問
- 自分の人生や日々の活動に意味を感じているか?
- 自分より大きなものに貢献しているという実感があるか?
A(達成)の質問
- 最近、何かを達成した・成し遂げたという実感があるか?
- 自分の目標に向かって着実に進んでいると感じるか?
会社員のIさんのPERMAスコアは、P:5、E:3、R:7、M:4、A:6でした。関係性(R)は充実しているものの、没頭(E)と意味(M)が低いことがわかりました。Iさんの場合、「フロー体験を増やす趣味を見つける」と「仕事の意味を再発見する(ジョブ・クラフティング)」が優先的な取り組みとなります。
P:ポジティブ感情を増やす計画
ポジティブ感情は、バーバラ・フレドリクソンの「拡張−形成理論」により、思考の柔軟性を高め、レジリエンスを強化し、創造性を促進することがわかっています。
具体的な行動計画
- 感謝日記:週3回、就寝前に3つの良いことを書く
- サヴァリング:1日1回、良い体験をゆっくり味わう時間を作る(コーヒー、景色、音楽など)
- 親切の実践:週に5つの親切な行為を意識的に行う
- 自然との接触:週に3回、最低20分間、緑のある場所で過ごす
- 笑いの確保:毎日、自分が笑える活動を1つ取り入れる(面白い動画、友人との会話など)
フレドリクソンの研究では、ポジティブ感情がネガティブ感情を上回る頻度が高いほど、人は「栄える」状態に入りやすいことが示されています(当初提唱された具体的な比率の数値モデルは2013年に撤回されています)。ネガティブ感情をゼロにする必要はありませんが、ポジティブ感情の頻度を意識的に増やすことが重要です。
E:没頭・フローを増やす計画
フロー体験を増やすには、自分の強みを活かせる「ちょうど良い難しさ」の活動を見つけ、集中できる環境を整えることが必要です。
具体的な行動計画
- VIA調査:自分の上位5つの性格強みを確認する
- 強みの活用:毎日1回、上位強みを新しい方法で意識的に使う
- フロー活動の確保:週に最低3時間、没頭できる活動に取り組む
- 集中環境:仕事中、1日1回は25分間の「ディープワーク」タイムを設ける(通知オフ)
- 新しいチャレンジ:月に1回、新しいスキルや活動に挑戦する
R:関係性を豊かにする計画
ハーバードの85年以上にわたる研究が示すように、温かい人間関係は幸福の最大の予測因子です。
具体的な行動計画
- 深い会話:週に1回、大切な人と「天気の話」を超えた深い対話の時間を持つ
- ACR:相手の良いニュースに対してアクティブ・コンストラクティブに反応する
- 感謝の表現:毎日1人に感謝のメッセージを伝える
- 共有体験:月に1回、大切な人と新しい体験を共有する(新しいレストラン、イベントなど)
- つながりの維持:月に1回、しばらく会っていない友人に連絡する
関係性(R)のスコアが低かったJさんは、「毎週金曜日は誰かとランチをする」というルールを設けました。最初は同じ部署の同僚と、次第に他部署の人とも。さらに、毎日帰宅後にパートナーと「今日のハイライト」を5分間共有する時間を作りました。3か月後、Jさんの関係性スコアは4から7に向上。「日々の小さなつながりが、こんなにも幸福感に影響するとは思わなかった」と言います。
M:意味と目的を深める計画
意味の感覚は「自分より大きなものへの所属と貢献」から生まれます。
具体的な行動計画
- パーパスステートメント:自分の人生の目的を一文で言語化する
- ジョブ・クラフティング:仕事の意味を再発見する(誰の役に立っているか、どんな価値を生んでいるかを明確にする)
- ボランティア:月に1回以上、何らかの社会貢献活動に参加する
- 意味ある物語:自分の人生のストーリーを書いてみる(過去の経験がどう今につながっているか)
- メンタリング:誰かの成長をサポートする活動を行う
意味の感覚は「大きなこと」をしなくても得られます。子どもに本を読み聞かせること、同僚のプロジェクトをサポートすること、近所の花壇の手入れをすること。「自分の行為が誰かの役に立っている」という実感があれば、それが意味の源泉になります。
A:達成感を味わう計画
達成感は自己効力感を高め、次の挑戦への動機づけとなります。
具体的な行動計画
- SMART目標:具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性のある(Relevant)、期限付き(Time-bound)の目標を設定する
- マイルストーン:大きな目標を小さなマイルストーンに分割し、一つずつクリアする
- To-Doneリスト:毎日の終わりに「今日できたこと」を書き出す
- 達成の祝福:目標達成時に必ず自分を褒め、お祝いする(小さな達成でも)
- 成長日記:月に1回、1か月前の自分と比べてどう成長したかを記録する
達成感(A)が低かったKさんは、「100日チャレンジ」を始めました。100日間で達成したい3つの目標(本を10冊読む、5kmを走れるようになる、料理のレパートリーを20品増やす)を設定し、毎日の進捗をアプリで記録。小さな進歩を毎日確認することで達成感が得られ、100日後にはすべての目標を達成。Kさんの達成スコアは3から8に上昇しました。
統合:自分だけの幸福プランを完成させる
ここまでの内容を踏まえ、あなただけの幸福プランを設計しましょう。
ステップ1:PERMAの現状スコアを記入する
P:___、E:___、R:___、M:___、A:___
ステップ2:最も低い要素を2つ特定する
まず取り組むのは、最もスコアが低い2つの要素です。
ステップ3:各要素について、上記の行動計画から1〜2つを選ぶ
最初から全部やろうとせず、無理なく続けられるものを選びましょう。
ステップ4:1週間の具体的なスケジュールに落とし込む
「月曜日:感謝日記、水曜日:フロー活動の時間、金曜日:友人とのランチ」のように、具体的な曜日と時間に紐づけます。
ステップ5:4週間後にPERMAスコアを再評価する
変化を確認し、計画を調整します。
幸福プランは一度作って終わりではなく、定期的にメンテナンスするものです。3か月に1回はPERMAスコアを再評価し、人生の変化(転職、結婚、引っ越しなど)に合わせて計画を更新しましょう。幸福は「到達地点」ではなく「継続的なプロセス」です。日々の小さな実践の積み重ねが、やがて「栄える(Flourish)」人生を築いてくれます。
PERMAモデルは、幸福を「科学」として捉え、「設計」可能にしてくれるフレームワークです。漠然と「幸せになりたい」と願うのではなく、5つの要素を具体的に強化する行動計画を持つこと。これがポジティブ心理学が教えてくれる幸福への道筋です。今日、PERMAのスコアを自己診断するところから始めてみてください。あなただけの幸福プランは、きっと素晴らしいものになるでしょう。