強みベースのチームビルディング
なぜチームに「強み」の視点が必要なのか
多くの組織では、チームビルディングというと「全員が同じスキルを身につける」という均一化のアプローチが取られがちです。しかし、最も高いパフォーマンスを発揮するチームは、メンバーの多様な強みが補完し合っているチームであることが研究で示されています。
ギャラップ社が数十年にわたって数百万人を対象に行った調査では、「毎日、自分の強みを活かす機会がある」と答えた従業員がいるチームは、そうでないチームと比較して、生産性が12.5%高く、離職率が14.9%低いことが明らかになっています。
ストレングスファインダーの考え方
ドナルド・クリフトン(ギャラップ社)が開発したクリフトンストレングス(旧ストレングスファインダー)は、個人の才能を34の資質に分類するアセスメントです。VIAが「性格的な美徳」に焦点を当てるのに対し、クリフトンストレングスは「思考・感情・行動の自然なパターン」に焦点を当てています。
34の資質は4つのドメインに分類されます。
| ドメイン | 特徴 | 資質の例 |
|---|---|---|
| 実行力 | 物事を成し遂げる力 | 達成欲、責任感、規律性、信念 |
| 影響力 | 他者に働きかける力 | 活発性、指令性、コミュニケーション、自己確信 |
| 人間関係構築力 | チームを結束させる力 | 共感性、個別化、調和性、包含 |
| 戦略的思考力 | 情報を整理し判断する力 | 分析思考、未来志向、着想、学習欲 |
強みベースのチーム設計
ステップ1:チームの強み地図を作る
チーム全員のアセスメント結果を一覧にし、「強み地図(Strengths Map)」を作成します。どのドメインに強みが集中しているか、どのドメインが手薄かを可視化できます。たとえば、戦略的思考力に強みが集中し実行力が弱いチームでは、素晴らしいアイデアが出ても実行に移せないという課題が生じがちです。
ステップ2:強みの補完関係を意識する
プロジェクトチームを編成する際は、4つのドメインがバランスよくカバーされることを意識します。一つのドメインに偏ったチームは、特定の場面では強いものの、別の場面で脆弱になります。
- 新規事業チーム:戦略的思考力(アイデア創出)+ 影響力(ステークホルダーの巻き込み)+ 実行力(推進力)のバランスが重要
- 顧客対応チーム:人間関係構築力(顧客との信頼関係)+ 実行力(確実な対応)が鍵
- 業務改善チーム:戦略的思考力(問題分析)+ 実行力(改善の実行)+ 人間関係構築力(現場の巻き込み)が必要
ステップ3:強みを活かした役割分担
プロジェクト内の役割を、メンバーの強みに基づいて割り振ります。たとえば、コミュニケーションの資質が高い人にはプレゼンや報告書作成を、分析思考が高い人にはデータ分析を、調和性が高い人にはファシリテーションを任せるといった具合です。
強みベースのフィードバック
チームの強みを活かすには、フィードバックの仕方も変える必要があります。従来の「弱点を指摘して改善を求める」フィードバックに加え、「強みを認め、さらに発揮する方法を一緒に考える」フィードバックを取り入れましょう。
強みベースのフィードバックの例
- 「あなたの分析力のおかげで、今回のレポートの品質が格段に上がりました。次のプロジェクトでも、初期段階からデータ分析を担当してもらえると心強いです」
- 「あなたの共感力は、クライアントとの関係構築で大きな武器になっています。社内のチーム間調整でもその力を発揮してみませんか」
「優れたマネージャーは、一人ひとりのユニークさを発見し、それを活用する。平凡なマネージャーは、弱点を最小化しようとする」― マーカス・バッキンガム
強みベースアプローチの注意点
強みベースのアプローチにはいくつかの注意点があります。まず、強みの過剰使用に気をつけましょう。たとえば「慎重さ」が強みの人が過度に慎重になると、意思決定が遅れます。強みは適切な状況で適切な程度に使うことが重要です。
また、弱みを完全に無視することも得策ではありません。致命的な弱みは「管理する」必要があります。ただし、そのアプローチは「弱みを克服して平均レベルにする」ことであり、弱みを強みに変えることではありません。弱みの管理にエネルギーを使いすぎないことが大切です。パートナーシップやチームの補完関係で弱みをカバーするのが最も効率的な方法です。