生きがいを見つける ― 人生の意味
「意味のある人生」とは
セリグマン博士のPERMAモデルで、M(Meaning)は「意味」を表します。ポジティブ心理学では、快楽的な幸福(楽しい、気持ちいい)だけでなく、「自分の人生に意味がある」と感じられることが、持続的な幸福に不可欠だと考えられています。
「意味」というと哲学的で難しく感じるかもしれません。しかし、それは壮大な使命である必要はありません。日常の中にある小さな「意味」に気づくことから始まるのです。
「意味」の3つの源泉
心理学者マイケル・スティーガー博士の研究によると、人生の意味は主に3つの要素から生まれます。
1. 一貫性 ― 自分の人生を理解できること
自分の過去、現在、未来がつながっていると感じられること。「あの経験があったから今の自分がいる」と思えることです。
例:子育ての苦労があったからこそ、人の気持ちがわかるようになった
2. 目的 ― 目指すものがあること
毎日の生活に方向性があること。大きな目標でなくても、「孫の成長を見届けたい」「庭の花を春に咲かせたい」といった身近な目的で十分です。
3. 重要性 ― 自分の存在に価値があると感じること
「自分がいることで、誰かの役に立っている」「自分の存在は世界にとって意味がある」と感じられること。
例:地域の清掃活動に参加して、「自分も町をきれいにする一員だ」と実感する
日本の「生きがい」とポジティブ心理学
実は、日本には古くから「生きがい」という素晴らしい概念があります。これは海外でも「Ikigai」として注目され、ポジティブ心理学の研究対象にもなっています。
沖縄が世界有数の長寿地域である理由の一つとして、お年寄りが「生きがい」を持っていることが挙げられています。畑仕事、地域の集まり、手仕事――日々の営みの中に見出す「自分がここにいる理由」が、心身の健康を支えているのです。
さまざまな立場での「生きがい」
学生の場合
- 新しいことを学ぶ楽しさ
- 部活動や趣味を通じた仲間とのつながり
- 「将来こうなりたい」という夢
- ボランティア活動で感じる「誰かの役に立てた」喜び
子育て中の方の場合
- 子どもの成長を見守る喜び
- 家族の健康を支える「食」を作ること
- 地域の子育てサークルでの交流
- 自分の趣味や学びの時間を持つこと
シニアの方の場合
- 孫との交流や次世代への知恵の伝承
- 長年の趣味や新しい趣味への挑戦
- 地域活動やボランティアへの参加
- これまでの人生経験を振り返り、語ること
「意味」を見つけるための3つのワーク
ワーク1:人生の川を描く
大きな紙に川の絵を描き、その流れの中に人生の大切な出来事を時系列で書き込みます。楽しかったこと、つらかったこと、転機になったこと。全体を見渡すと、自分の人生の「流れ」や「テーマ」が見えてきます。
ワーク2:「もし残り1年なら」リスト
「もし人生があと1年だったら、何をしたいか」を10個書き出します。そこに書いたことが、あなたにとって本当に大切なことです。そして、それを今日から少しずつ始めることができるのです。
ワーク3:「ありがとう」と言われた場面を思い出す
これまでの人生で、誰かに「ありがとう」と言われた場面を5つ思い出してみましょう。あなたの存在が誰かの人生にとって意味があった瞬間です。そこに、あなたの「意味」のヒントがあります。
意味は「見つける」ものであり「作る」もの
人生の意味は、突然天から降ってくるものではありません。日々の暮らしの中で、自分が何に心を動かされるか、何に時間を使いたいか、誰のために何かをしたいかに注目することで、少しずつ見えてきます。
心理学者ヴィクトール・フランクルは言いました。「人生に意味があるかどうかではなく、人生があなたに意味を問いかけているのだ」と。毎日の暮らしの中に、その問いかけは必ずあります。